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まんが甲子園

「全国高等学校漫画選手権大会 まんが甲子園 第17回大会」観戦記

みなさん、今年の夏も「甲子園」をご覧になりましたか? 日本中から集まった高校ペン児達が、熱くペンを振るってくれましたね!! ......あれ? 高校"ペン"児? そうです。まんが☆天国にとっての「甲子園」とは、毎年高知県で行われている「まんが甲子園」のこと。今年は8月2日・3日に、その第17回大会が行なわれました!!

はじめに

「まんが甲子園」(正式名称:「全国高等学校漫画選手権大会~まんが甲子園~」)について、よく知らないという人のために、まずはこのイベントの概要を解説しましょう。

「まんが甲子園」は、まんが王国・土佐(高知県)が主催する高校生のためのまんがコンクール。横山隆一先生(『フクちゃん』など)、青柳裕介先生(『土佐の一本釣り』など)ら、数多くの漫画家を輩出している高知県が自ら名乗りを上げ、1992年から1度も休むことなく開催されている、もはや伝統的と言っても差し支えないイベントです(会場:高知市文化プラザかるぽーと)。

今年、8月2日・3日に行なわれた第17回大会には、全国からなんと326校もの高校まんがサークルがエントリー(3~5名のチーム制)。ここから予選審査(6月)で厳選された30校が高知に集い、高校まんが界の頂点を競いました(競技内容については、下記「まんが甲子園のルール」参照)。

ポスター画像

「まんが甲子園」公式サイト
http://manga-koshien.net/

まんが甲子園のルール

「まんが甲子園」は、実際の「甲子園」のようにトーナメント方式で競うものではありません。審査員が出題した「テーマ」に関する作品を、全チームが制限時間内(5時間)に作成し、その内容で勝敗を決するのです。初日に行なわれる第一次競技では30チームから15チームが選抜され、翌日の決勝戦に進みます。

なお、第一次競技で敗退した15チームには敗者復活戦が用意されています。競技終了後に提示された「テーマ」に基づいた作品を翌朝9時までに提出したチームの中から5チームが選ばれて決勝戦に「復活」できるのです。

第一次競技勝ち抜き15チーム+敗者復活5チームで行なわれる2日目の決勝戦は、第一次競技と同様に出題された「テーマ」で作品作りが行なわれ、ここで優勝校(およびその他の入賞校)が決定します。

今年のまんが甲子園はここがスゴい!!

去年から出版社のスカウトを招くなど、「プロへの道筋を付ける」(主催団体・NPOマンガミット吉村理事長、昨年の総括コメントより)展開も模索し始めた「まんが甲子園」。今年はさらに多くの点で、この方向性を強化しています。

まず、昨年好評だった出版社のスカウト参加が大幅増強。昨年から参加していた小学館、講談社に加え、集英社、秋田書店からもプロのまんが編集者が次世代まんが家の発掘に訪れています。今年2年目となる小学館、講談社は会場に出張編集部を設置。出場者以外からの持ち込みも受け付けていました。

写真その1

そのほか、あの海洋堂が予選応募作品の中から魅力的なキャラクターを立体化するという驚異の新企画も実施。300以上の応募作品から2点が選ばれ会場内に展示されていました(展示後、受賞校にプレゼントされたそうです!)。

写真その2

また、今年からの新しい試みとして、アメリカ人4人組の海外チームがゲスト参戦。高知県内在住の外国語指導助手の皆さんが特別チームを編成して参加していました(あくまでゲストということで、第一次予選のみの参加でした)。

もちろん毎年恒例の各種イベントは今年も実施。まんが家による似顔絵コーナーや、地元高校による展示、自由参加の落書きコーナーなど、参加者以外の来訪者も楽しめる素敵なイベントになっています。また、いまや「まんが甲子園」もう1つの名物とも言われるMoo.念平先生(『あまいぞ!男吾』など)司会による「大笑いまんが道場」も大盛り上がり。当日、現場にいた人しか見られない奇跡の大爆笑イベントでした。

写真その3

第一次競技を見事勝ち抜いたのはこの15校!

8月2日、猛暑の中、甲子園さながらの入場行進で始まった、第17回まんが甲子園!

去年同様、今年も審査委員長やなせたかし先生(「アンパンマン」など)が開会の挨拶と本戦テーマを発表します。そのテーマは「まんが遺産」。さまざまな解釈ができそうな難しいテーマです。結果、実際の世界遺産をモチーフにした作品から、まんが自体を遺産になぞらえたものまで、多彩な作品が生み出されました。

写真その4

そして、ここから15作品が選抜。どれも素晴らしい作品揃いでしたが、審査員の皆さんの厳しい目がチームを半数に絞り込みます。明暗分かれる勝者と敗者。しかし、負けたチームにもまだチャンスがあります。敗者復活戦に勝ち残れば、翌日の決勝戦に参加できるのです。

敗者復活戦のテーマは「CHANGE(チェンジ)」。
第一次競技終了後、翌朝までに作品を完成させるというハードスケジュールで、決勝進出かなわなかった15校が復活を目指して奮闘します!! 多くのチームが夜を徹して作業したというその執念。勝ち残ったチームも翌日の決勝戦を思い、不安(と興奮?)で、多くが眠れぬ夜を過ごしたようです。

ちなみに第一次競技を無事勝ち抜いたのは以下の15校。

  • 青森県立黒石商業高等学校
  • 岩手県立盛岡第三高等学校
  • 茨城県立土浦第一高等学校
  • 群馬県立高崎東高等学校
  • 花咲徳栄高等学校
  • 順天高等学校
  • 富山県立高岡工芸高等学校
  • 多治見西高等学校
  • 大阪教育大学附属高等学校池田校舎
  • 島根県立松江南高等学校
  • 愛媛県立南宇和高等学校
  • 高知県立岡豊高等学校
  • 太平洋学園高等学校
  • 高知県立山田高等学校
  • 沖縄県立那覇工業高等学校

皆さんの母校、もしくは出身都道府県のチームは勝ち残ったでしょうか?

敗者復活校決定! そして決勝戦スタート!!

そして迎えた、決勝戦当日。
今年も、高知市中心商店街「ひろめ市場」で、敗者復活の一般投票を実施。一般のお客さんに作品を展示し、投票してもらった結果が審査員による審査に反映されて敗者復活チームが決定されます。結果、復活したのは以下の5校。

  • 北海道札幌白石高等学校
  • 京都芸術高等学校
  • 大阪府立松原高等学校
  • 学校法人呉武田学園武田中学校・高等学校
  • 沖縄県立開邦高等学校

合計20チームの決勝進出チームが、いま、決定しました。

そして、ほとんど休憩を挟むことなく、決勝戦のテーマが発表されます。そのテーマは「偽装」。近年、日本社会を悩ませている深刻な話題です。この難問に、15+5チームが挑みます!

写真その5

競技時間は10時30分のテーマ発表から、16時までのわずか5時間30分。ゼロからアイディアをひねり出し、作品を仕上げるには辛いタイムリミットです。求められるのは発想力、集中力、そして体力。各チームに割り振られた作業ブースからは気合いの雄叫びや、円陣のかけ声が聞こえてきます。

泣いても笑ってもこれが最後。もう、敗者復活はありません。
残された力を振り絞り、高校ペン児が最後の戦いに挑みます!!

写真その6

優勝はなんと初挑戦のルーキー校に!!

「5、4、3、2、1、0!!!!!」

ステージ上のカウントダウンで、競技終了が告げられると、一瞬のため息、そして直後に大きな歓声が上がりました。まんが甲子園第17回大会、結果発表はまだですが、ペン児達にとっては、ひとまずの終了です。多くのペン児が床に座り込んだり、机に突っ伏したり......みんな、体力と気力の限界に達していました。

写真その7

完成作品が回収され、審査員の先生方があわただしく別室へと移動します。審査時間は1時間。17時には結果発表が始まり、18時にまんが甲子園閉会という流れ......でした。

毎年、傑作揃いとなるまんが甲子園決勝戦では、審査時間がややオーバーするのが当たり前となっています。事実、昨年もおよそ15分ほど結果発表が遅れました。しかし今年は、30分経ってもまだ始まりません。なんと、審査団が別室から戻ってきたのは45分オーバーの17時45分。本来であれば閉会式が始まろうという時間になって、審査委員長のやなせ先生ら十数名の審査員団が疲れ切ったように戻ってきました。

そんな、例年を上回る大紛糾となった今大会。
審査員団すら疲弊させる熾烈な戦いをくぐり抜けたのは、岐阜県の多治見西高等学校でした!!

写真その8

作品

「偽装」という重苦しいテーマを、主婦の愛妻弁当偽装という思わず笑ってしまうホームドラマ的な内容に「料理」した点と、それを美味しそうに食べる旦那さんの表情が高く評価されての優勝となりました。「お弁当箱の色が明るいピンク色だったら色彩的にも完璧だった」とは審査委員長やなせ先生の弁。

なお、多治見西高校のまんが部は、今大会が初挑戦。これまで学校の文化祭などでしか作品を発表していなかったのをもったいないと考えていた顧問の先生が参加を薦めたことが参加のきっかけだったそうです。先生も一緒になって大喜びの多治見西高校チーム。本当におめでとうございました!!

写真その9

ちなみに、多治見西高校チームの作業ブース、実は昨年優勝した富山県立志貴野高等学校の作業ブースと全く同位置でした。すごい偶然ですが、こういうことってあるんですね。ひょっとしてラッキープレイス?(いえいえ、彼女たちの実力ですよね)

なお、各校の作品を含む大会の詳細は、公式サイトの中継ページで見ることができます。こちらも要チェックですよ!!

「まんが甲子園」公式サイト 中継ページ
http://manga-koshien.net/17th-compe/index.html

そして世界の「まんが甲子園」へ?

というわけで、無事閉幕した、2008年のまんが甲子園。
閉会式前に行なわれた、まんが出版社によるスカウトの結果発表も大きな盛り上がりを見せるなど、「プロへの道筋を付ける」という目的もしっかりと達成されていました。

このことについて、大会を運営する「NPOマンガミット」の吉村理事長は「今年は去年よりも多くの出版社が参加してくれたが、来年はもっと多くの出版社に来てもらいたい。まんが甲子園からプロに巣立っていく子ども達を増やしたい」とまんが甲子園の目標を語ってくれました。

そして、「今年は海外チームをゲストという形で招いたが、いずれは日本以外の国でも予選を実施、まんが甲子園を世界大会という形に育て上げたい。目標は......うーん、5年後ってのはちょっと言い過ぎかな(笑)」とさらなる展望についてもこっそり宣言(?)。時期については言葉を濁していましたが、いまや韓国やフランスなどを中心に、世界中で人気のまんがですから、5年後だって決して夢ではないのでは?

まんがを通じて世界中の高校生が集う、まんが甲子園世界大会に期待しましょう!!

もちろん、来年の「まんが甲子園 第18回大会」にも乞うご期待。
まんがが大好きな高校生の皆さん、仲間とペンを取って、この戦いに参加してみませんか?

最後に、来年に向け、審査員の島本和彦先生(『燃えよペン』など)と藤田和日郎先生(『月光条例』など)からコメント(?)をいただきました。

コメント

......まんてん編集部は100倍期待していますよ!!
それでは、来年もまた、ここでお会いしましょう!!

2008年09月03日