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『克・亜樹先生』 その3

週刊連載+月刊連載で月産ページ数は100ページにもなるという克・亜樹先生。さすがに休みはほとんどないものの、徹夜はせずに毎日午後6時半には必ず仕事を終えるというその仕事術に迫ります! そして100ページものまんがを描く動機である「刷り込み」についても教えていただきました。

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月産100ページ!?
克・亜樹先生のモーレツ仕事術

――現在、克・亜樹先生は隔週で『ふたりエッチ』(ヤングアニマル)と『毒×恋 DOKUKOI』(スーパージャンプ)を連載しておいでですが、これってトータルではすごい分量になりますよね。

天地開闢-God Sweeper-

克:だいたい100ページ/月くらいのペースですね。『毒×恋 DOKUKOI』が始まる前は、少年マガジンZで『天地開闢-God Sweeper-』を、その前はヤングマガジンで『ラブ・らっきぃ』を連載していたので、ずっとこの分量を描いていたことになります。

合計で週刊1本+月刊1本くらいの分量ですね。やっぱりそれくらいやりたい。

――え? やりたくてやっているんですか??

ラブ・らっきぃ

克:少年サンデーで描いていたころ、担当編集者に「描ける人間は、週刊連載やった上で、増刊にも描くんだ」って言われていたんで、その刷り込みが残っているんですよね。

でも、その担当さんにその話をしたら「今はそんな人いないよ」って。しまいには「まだやってるんだ、すごいねー!」とか言われちゃいましたよ(笑)。

――いや、本当にすごいと思います。ちなみに、その分量をアシスタントさん何人くらいでやられているんですか?

克:トータルで7人ですが、1日あたりでは4人くらいですね。僕は毎日働いてますけど、アシスタントさんを毎日働かせるわけにいきませんから、だいたい2チーム交代制にしてます。

――先生は毎日働いておいでなんですね。休みは全くないんですか?

克:月に3日くらいは休みにしていますが、その時はネームを描いてます。

――先生、それは「休み」って言いませんよ(苦笑)。徹夜とかも多いんですか?

克:いや、徹夜はしないようにしていますね。徹夜すると次の日どうしても動けなくなるんで、効率よく働くためにも毎日寝るようにしています。

あと、作画とネームを並行してやるってのもコツの1つですね。

以前、ヤングアニマルでご一緒させていただいた立原あゆみ先生(『あばよ白書』など)が、作画を予定時間内で必ず終わらせ、キリが良くても悪くてもネーム作業に切り替えているって話を私の担当編集さんに聞いてマネしはじめたんですが、確かに効率がいいんですよ。

――そうなんですか? どちらにも集中しきれないという意味では、なんだか効率が悪いようにも感じるんですが?

克:僕も最初はそう思っていました。でも、作画に集中的に取り組んで、それが完成したら次のネーム、それが終わったら作画……みたいにやっていくと、それそれの作業が終わるたびに、頭がフリーズしちゃうんですよ。「終わった~!」って。

katsuaki0006

集中するってのは、エンジンをフル回転させるってことですから、負担がものすごく大きいんですね。でも、作画とネームを時間で区切って交互に進めていく方法だと、無理なくエンジンを回し続けられるんです。

だから、今は、絶対に午後6時半には作画作業は終わらせるようにしています。ネームはその後考えて、夜もきっちり寝る。ネームが上手く間に合わなかった場合でも、徹夜はせずに次の日早く起きてやるという形を徹底しています。

――長期間、大量の作品を提供し続けている裏には、そんな方法が隠されていたんですね。ところで、その作画ですが、単行本5巻から表紙などのカラー原稿にCGを使われるようになっていますね。

ふたりエッチ 第5巻

克:そうですね。この頃から彩色にMacを使うようになりました。4巻まではカラートーンを使っていたんですが、カラートーンのバリエーションにも限界があるので、時流に乗ってCGにチャレンジしてみました。

――CGは独学ですか?

克:いや、僕はまったくパソコンが使えなかったので、知り合いの詳しい人を呼んで1日かけて教えてもらいました。

――え? たった1日で?

克:基本的には単なる画材ですから、使い方を教えてもらえれば、後はそんなに難しいことはないですよね。

ちなみに、今は彩色だけをMacでやっているんですが、最近は他の部分もCGに移行したいと思い始めていますよ。スクリーントーンがはがれなかったり、ベタがワンクリックでできるのが素晴らしい(笑)。

――逆にCGで作業するにあたって、不満を感じることとかはありませんか?

克:今では解決していますが、当時は色に苦労しましたね。当初から言われていたんですが、色が思い通りに出なかったんですよ。あと、細かなところで、手書きの方がいいと思うところもありますが、最終的には慣れで解決できると思います。

――では、現時点ではかなり満足している?

克:そうですね。今は人数が多いので難しいですが、将来的に仕事を縮小していくことになったら、さらにCG作画に移行していくことになりそうです。

――さらに美しい作画が楽しめるのであれば、読者としては楽しみです。
 ところで先生、話はガラリと変わりますが、「克・亜樹」というペンネーム。これはどういう意味なんですか?

克:僕の下の名前が「克明」なので、読みをそのままに漢字を変えただけですね。ただ、ちゃんと選んだ漢字にも意味があるんですよ。

名字が「中村」なんですが、「亜樹」の字をよく見ると、「亜」の中に「中」が、「樹」の中に「村」があるでしょう? それで「克・亜樹」なんですよ。だから、この漢字じゃないとダメなんです。

――なるほど!! それは初めて知りました。

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克:インタビューで聞かれたのも初めてですよ(笑)。

克・亜樹プロフィール

克・亜樹(かつ・あき) 1961年、福岡県生まれ

1983年に白泉社、小学館のまんが賞に入賞。1985年に少年サンデー増刊『まぼろし佑幻』で連載デビュー。その後、少年サンデー本誌で『はっぴい直前』や『星くずパラダイス』などのラブコメ作品を連載し、ほのぼの系ラブコメの第一人者として名をあげた。現在は活動の場を青年誌に移動。1997年から連載開始した『ふたりエッチ』ヤングアニマルヤングアニマル嵐)が単行本発行部数2200万部(累計)を越えるメガヒットを記録している。


「まんがのチカラ」次回予告
克・亜樹先生編最終回となる次回、いよいよ大人気作品『ふたりエッチ』について語っていただきます。10年以上の連載になるにも関わらずネタに困ることはないという『ふたりエッチ』が、この先目指すものとは一体何なのか!? 先生の「ラブコメ」への想いが垣間見える最終回は2008年9月1日掲載予定。お見逃し無く!

2008年08月25日