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『楳図かずお先生』 その4

再出版や映画化など、活発な動きを見せる先生の作品。これまでに多くのファンを獲得し、若い世代のファンも増え続けています。そして若い世代のファンといえば大人気タレントの中川翔子さん。もしかして楳図先生の監督映画に出演なんて…。そんな気になるところを、こっそりと教えていただきました。

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去年も今年も来年も、楳図イヤーは続く

――前回のお話に出てきた『森の兄妹』が高校生になってから出版され、それをもってプロデビューということになりました。プロデビュー後に変わったことなどありましたか?

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楳図:プロデビューをきっかけに高校を卒業してから、プロとして活動していくことになるわけですが、そうなると「自分らしさ」よりも、現実問題として、どうすれば「売れる」のかを考えざるを得なくなってしまうんです。

それで、また手塚先生の絵柄に戻しちゃったんですよね。当時、僕にとってはそれが大変苦痛で……。それで、せめてお話だけは別の方向性を追求しようと言うことで、考えたのが「恐怖まんが」なんですよ。当時、怪奇まんがや、スリラーまんがはあったんですが、恐怖まんがはなかったので。

――その当時、先生ご自身が「売れているんだから、手塚先生と同じでいいじゃん!」って思ってしまったら、今の楳図先生はいなかったんですね。

楳図:そうですね。そういうふうに考えていたらどうなっていたでしょうね。でも、去年、NHKの『わたしが子どもだったころ』で、手塚先生の絵柄に似ていた昔の原稿をたくさんお蔵出ししたんですけど、今見てみると意外に悪くなくて、「あれ、これはこれで良いんじゃないか?」って思ってしまったんですよ(笑)。

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でも、心意気としてオリジナリティを大切にする気持ちは持っていたいですよね。作り手としてとても大事なことですから、自分を律しながら取り組む必要があります。やっぱり「○○○に似ている」って言われるとうれしくないですよ。

――ところで、近年、楳図先生の作品が再出版(小学館『楳図PERFECTION!』シリーズなど)されたり、映画化されたり、非常に活発に動いているように感じます。

楳図:そうですね。映画は今年2本上映されますね(『おろち』『赤んぼ少女』)。

――なにか理由がおありになるのでしょうか?

楳図:偶然ですね。特に意図的に何かを仕掛けたということではないんですよ。ただ昔、私の作品を喜んで読んでくださっていた方が、ちょうど今くらいになって、自分のやりたいことをやれる立場についた、ということの影響はあるかもしれません。

――かつて楳図先生のファンだった少年が、今、出版社や映画会社などの偉い人になって、さぁ、やりたいことをやるぞ、ということですか? そうすると、今後もいろいろとありそうですね。

楳図:そうあってほしいですよね。ここで終わりは面白くないですから。

――最初の方でお伺いした初監督映画も、ぜひ2作目、3作目と続けてください。

楳図:本当にそうなると素敵ですよね。でも、まずは1作目に全力投球して、これを成功させないと(笑)。

――そして、ファンといえば、先生には当時からのファンのほか、若いファンも多いですよね。たとえば、タレントの中川翔子さんなどは、若手の楳図かずおファン代表みたいな感じになっています。

楳図:中川さんの存在はとてもありがたいですよね。昔から読んでくださっているという方もありがたいんですが、中川さんほど若いファンというのは、それだけでもう大変貴重です。

――たしか、何度もテレビ番組などでお会いしてますよね。作品に対する感想など、何かお聞きになりましたか?

チキン・ジョージ『14歳』第1巻より
チキン・ジョージ(『14歳』第1巻より)

楳図:そこまで踏み込んだ話はしていないんですが、『14歳』を気に入っているとか、ひたすら支持してくださっているということは伝わってきますね。

――ブログとかでチキン・ジョージ(『14歳』のキャラクター)の模写をアップされたりしていますよね。

楳図:上手ですよね(笑)。さすが芸術の血を引いておいでだと思いました。

――そういえば、先生の初監督映画、まだキャスティングは未定だと仰っていましたよね。中川さん主演という線はないんですか?

楳図:それは僕の一存ではなんとも言えません(笑)。ただ、今回でなくても、いつかそういうことがあると良いなとは思っていますよ。

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そのためには、なんにせよ、まず一作目に全力投球して、成功させないといけませんよね。ストーリーには絶対の自信がありますので、ぜひ期待していてください。

楳図かずおプロフィール

楳図かずお(うめずかずお) 1936年、和歌山県生まれ

高校卒業後の1955年、中学生時代に描いた『森の兄妹』で貸本まんが家デビュー。その後、1960年代に独自の「恐怖まんが」というカテゴリーを確立し、『赤んぼ少女』(1967年/少女フレンド)や『おろち』(1969年~/週刊少年サンデー)は映画化もされた。「恐怖まんが」のほか、SF作品も積極的に発表しており、『漂流教室』(1972年~/少年サンデー)や、『わたしは真悟』(1982年~/ビッグコミックスピリッツ)、『14歳』(1990年~/ビッグコミックスピリッツ)などが人気を博した。1976年~1981年まで週刊少年サンデー誌上にて連載されたギャグまんが『まことちゃん』も人気が高い。


2008年09月29日