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『石川雅之先生』 その4

隔週連載である『もやしもん』の月間ページ数はおよそ32ページ。それをほぼ一人で描き上げる石川先生が、なんとさらに隔月刊誌で新連載を開始します。厳しい制作スケジュールの中でも先生が持ち続ける仕事へのこだわりとは何なのかや、気になる新連載の内容を教えていただきました。

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独りで月産32ページ。そして新連載も!?

――今回は、先生の仕事の仕方について教えてください。噂によると先生は全くアシスタントを使っていないと言うことですが、本当ですか?

石川:原則的には使っていませんね。ただ、今はイブニング編集部の写植貼りバイトの子にこっちに来てもらって、少しでも作画時間を稼ぐというやり方をさせてもらっています。トーンも貼ってもらったり。

――それで月産何ページくらい描けるものなんですか?

石川:隔週で16ページずつですから、月産32ページくらいですね。

――それをあの書き込みの細かさで1人で描けるというのは、相当な速筆ですよね。

石川:いや、遅いですよ。だから2週間のタイムリミットのうち、ネームには2、3日しかかけられない。後は全部作画にとられちゃうんです。

――アシスタントを使おうとは思わないんですか?

石川:トーンを使わない理由と重複してしまうんですが、自分で描けるうちは自分でやれって考えちゃうんですよ。

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アシスタントを使うのは便利だろうし、効率もいいと思うんですけど、別にまだ良いかなって気持ちの方が強いですね。そのうち、どうしようもなくなったら助けてもらうようになるんでしょう。

あと、やっぱり自分にアシスタント経験がないとやり方が分からなくて。それが面倒という側面もありますね。

――時間的にギリギリの創作活動を続けていく中で、なにか自分に課しているルールなどがありましたら教えてください。たとえば、「徹夜はしない」とか。

石川:「〆切を守る」これだけです。描けないなら寝なければいいし、寝なくても描けないなら食べなければいいんです。もちろん、そりゃきついですよ。でもみんながやっていることと思えば耐えられるはず。

――インタビューの冒頭からひしひしと感じていたんですが、先生は仕事に対して、ものすごく真剣ですよね。ストイックというか......。

石川:好きで始めた仕事ですから。そこでだらけられませんよ。もちろん、家族やプライベートを大事にする人もいるでしょうし、それを間違っているとは思いませんが、僕はそれを言い訳にしたくないんです。

――なるほど。さて、そんなお話を聞いていると、聞くのが少し恐ろしいのですが、新連載が始まりますよね(11月7日に登場する隔月刊誌『good!アフタヌーン』誌において『純潔のマリア』連載開始)。

石川:そうですね、ずっと描きたかった英仏百年戦争(注:フランスとイギリスの間で、14~15世紀にわたり行なわれた間欠的な戦争状態のこと。現在の両国間国境を確定させた戦争として知られている)を描かせてもらえることになりました。僕はもともと史実を舞台にした群像劇を描きたかったので、気合いが入ってますよ。一度某誌に企画を出して「お前が百年戦争を描いても面白くなるわけがない」って却下されたことがあるので、そのリベンジでもあります(笑)。

――それは期待できそうですね! しかし、英仏百年戦争というのはまんがのモチーフとしてはかなりマイナーですよね。これを描きたいと思ったのはどういう理由なんですか?

石川:誰も注目していないところが面白いじゃないですか。新撰組が好きな方は多いでしょうけど、会津が最後どうなったかまで興味あるかといわれると少なくなるでしょ? そういうところをきちんと描きたいんです。

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それに、みんながやっているモチーフを描いて、そこで1番取るなんて大変ですよ。たとえば、『蒼天航路』(原案:李學仁先生/作:王欣太先生)を越える三国志まんがなんておいそれと僕は描けません。戦国時代だってそう。

だから僕は隙間、隙間を行こう、と。『もやしもん』と一緒ですよ(笑)。

――それで英仏百年戦争なんですね。しかし先生、『もやしもん』を描きながら、さらにもう1本なんて、隔月刊とはいえ、さすがに限界を超えているのでは?

石川:いや、できると思った以上、やってみます。第1話は34ページなんですけど、もう下書きまで終わってますしね(取材は7月中旬に行なわれまし���)。

――身体をこわさない範囲でお願いしますね(苦笑)。ちなみに『純潔のマリア』は、作風としては、『もやしもん』のようなコメディータッチな内容ではなく、初期の『人斬り龍馬』的なシリアスな内容になるんですか?

石川:いや、どちらでもないですね。せっかくの新連載ですから、全く違うものを始めたいと思っています。『もやしもん』っぽいものがやりたいなら『もやしもん』でやっちゃいますから、『純潔のマリア』ではこの作品でしかできないことをやります。

――それは期待できそうですね!

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石川:いや、期待はしないで(笑)。ただ、『もやしもん』とは違うものを描いたので読んでね、くらいの気持ちです。

――いやいやいや、楽しみにしていますよ!!

11月7日 新増刊誌『good!アフタヌーン』登場!!

モーニングから始まり、アフタヌーン、イブニングと拡大してきた講談社の青年コミック誌に新たな一冊が加わります。その名も『good!アフタヌーン』。すでに各所で大々的に告知が始まっていますから、皆さんはもうご存じですよね?

石川先生の新作『純潔のマリア』を筆頭に、全20作品=650ページという超豪華ラインナップが早くも話題に。その魅惑の作品群については公式ウェブサイトを参照のこと。「え? あの先生が?」と驚愕すること請け合いですよ!!

まんがファンならば興奮せずにはいられない、今年最大のビッグ&ニューウェーブ。 発売日は11月7日(金)。以後、隔月刊で定期刊行予定です!!

>>公式サイトはこちらから


上野の森でオリゼーたちに会える?
「菌類のふしぎ -きのことカビと仲間たち」開催中!!

現在、東京は上野公園の国立科学博物館において、菌類にスポットを当てた『もやしもん』全面協力の展覧会が実施中です。日本初公開となる太古のきのこや光るきのこなど、500点以上の標本や資料が大集合!! もちろん「もやしもん」キャラが、"リアルもやしもん"ワールドをナビゲートしてくれますよ。

開催期間は2008年10月11日から2009年1月12日まで。
「もやしもん」を通じて菌に興味をもった皆さん! これは行かねば!!

>>公式サイトはこちらから

石川雅之プロフィール

石川雅之(いしかわまさゆき) 1974年、大阪府生まれ

1997年、別冊ヤングマガジン掲載『日本政府直轄機動戦隊コームインV』でデビュー。1999年、『神の棲む山』でちばてつや賞準入選。2002年『週刊石川雅之』連載などを経て、2004年『もやしもん』イブニング誌上にて連載開始。農大という舞台や、菌が見える主人公などといったユニークな設定によって一躍人気作家に。極度にデフォルメされた「菌」のキャラクターは多くの女性ファンも獲得した(2007年にはアニメ化も実現)。2008年11月7日発売の新増刊誌『good!アフタヌーン』にて新作『純潔のマリア』を連載開始。


2008年10月30日