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『種村有菜先生』 その3

種村作品といえば、パワフルな画風と精緻な描写、またギャグ的な要素が散りばめられているのも特徴のひとつです。インタビュー第3回では、先生がまんがを描き始めた頃のお話や、大好きなまんが作品、そしてこよなく愛するりぼんについてお話を伺いました。

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4コマまんがで天下をとる! 目指したのはギャグまんが家

――先生は高校卒業直後にデビューされたそうですが、実際にまんがを描き始めたのはいつからなんですか?

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種村:絵は小さい頃から好きでしたが、まんがを描き始めたのは高校1~2年の間の春休みからです。デビューが高校を卒業した春ですから、デビューのちょうど2年前になりますね。まんが研究会などにも入っていなくて、完全な独学でスタートしたので、最初は何もわからなくて。でも「実際に描いている人がいるんだから、私にもできなことはない」と思って、やり始めたんですね。でもやっぱり独学だったので後から気づくことも多かったです。たとえば、少女誌の場合、コマ間の隙間が横2ミリ、縦 5ミリが基本のようなんですが、それもデビュー2作目くらいで「なんだか自分の画面はプロっぽくないなぁ」と思って初めて気付いたくらいですから......(笑)。

――描き始めたのは、意外に遅かったんですね。でも2年後にプロ・デビューというのは、やっぱりすごいです。小さい頃から、まんが家を目指していたんですか?

種村:そうですね。ずっとまんが家になりたい、とは思っていたんですが、学校の友達は、ふつうのファッション好きな女の子ばかりだったので、なかなか恥ずかしくて誰にも言い出せなくて。まんがが好きだというと......オタクだって言われちゃいそうで怖かったんです。だから学校ではイマドキを気取ったふつうの高校生で、家に変えるとまんが好きに変貌する、という感じでした(笑)。高校生になって、ようやくまんが好きの友人が別の学校に出来て、彼女はアドバイスを親身にしてくれましたね。

――最初からストーリーまんがを描かれていたんですか?

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種村:ギャグとショート、4コマまんがが大好きで、本当はギャグまんが家になりたかったんですよ。4コマで天下を取りたい!と思っていたくらいですから(笑)。りぼんのまんがスクール(※りぼんの漫画賞)への投稿も、初めは4コマでしたし。それで賞を取って誌面に掲載されるくらいまで行って、調子に乗って「私は一生、4コマでいくんだ!」と思っていたら、その親友の女の子にストーリーまんがを薦められたんです。それでストーリーまんがも作り始めたんですが、最初の作品は4コマのときより成績が悪くて、4コマに戻そうか、とも思ったんです。でも親友が「もう一度挑戦してみなよ」と言うのでやってみたら、すぐに「もうひといき賞」を取れた。そうこうしているうちにストーリー作品の面白さに目覚めていったんですね。彼女には本当に感謝しています。

――そうだったんですね。ちなみに今でもギャグまんがはお好きなんですか?

紳士同盟†

種村:そうですね。昔からずっと買っているのは、ももせたまみ先生(『ももいろシスターズ』など)の4コマまんが。ゲームのアンソロジー系のまんがなんかも読みます。うすた京介先生(『ピューと吹く!ジャガー』など)も大好きで、全作品持ってますね。エッセイまんが、特に猫が出てくるものも好きですね(笑)。ほかには、いがらしみきお先生の『ぼのぼの』(竹書房)や、臼井義人先生の『クレヨンしんちゃん』(双葉社)も読んでいます。いまでも定期的に本屋さんに行って単行本をチェックしてます。

あと、お兄ちゃんがいたので、小さい頃から週刊少年ジャンプや週刊少年サンデーは読んでいましたし、好きですね。それにお兄ちゃんがちょっとヤンキーだったもので(笑)、ヤンキーまんがにも詳しいですよ。そのあたりは『紳士同盟†』の主人公、灰音ちゃんのバトルシーンなどに役立っています。

――いろいろなジャンルの作品・雑誌を読んでいらっしゃるんですね。

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種村:まんがが好きなんです。まんが雑誌は月に4~5冊買うかな。でも私、雑誌派でありながら、単行本も買うので、実家の私の部屋なんかは壁一面が本棚になっていて、1000冊以上あるはず。それに、手元においておきたいものは、重ねて買っているので、東京の自宅にもすでに500冊以上はあるかな。妙にマニアなので、既に持っている作品でも、リミックス版とか、文庫版が出ると買ってしまうんです(笑)。

――本当にまんがが好きなんですね(笑)。そんな好きなまんがの中で、特に愛読されていたのがりぼんだったというわけですね。

種村:りぼんは、小さな頃はもちろん、今でも一番大好きな雑誌です。低年齢・少女向けの雑誌でありながら、意外に何でもアリの、自由な雑誌なんです。私が描き手になってからも、どんなジャンルでも垣根なく受け入れてくださっています。たとえば小学生にはちょっときわどいかなという表現で迷っているとき、編集さんから「作品に本当に必要なら描いていいんだよ」という言葉をいただいたこともありました。可能性を決して頭ごなしにつぶさない、という姿勢が嬉しいですね。そうした雑誌のためか、まんがスクールへの投稿者もいまだにとても多くて、いろんなジャンルの描き手がたくさん作品を送ってきてくださるそうです。

星の瞳のシルエット
ときめきトゥナイト

――なるほど。そんな先生は小さいころ、りぼんのどんな作品・作家がお好きだったんですか?

種村:『星の瞳のシルエット』の柊あおい先生や、『ときめきトゥナイト』の池野恋先生が、やっぱり好きでしたね。1日でも早く読みたくて、地元の本屋さんを毎日チェックしてました。あと、昔から個性的な作風を好む傾向があって、楠桂先生(『八神くんの家庭の事情』など)なども大好きでした。その当時の少女まんがはふわふわした雰囲気で、顔の輪郭線など途切れさせるのが主流だったんですけど、楠先生は線をくっきり描かれていて、それがとても本当にきれいで......。あのアニメ的な、コンピュータで描いたような正確な線に憧れているので、私もわりとしっかりとした線を出すようになったんだと思います。

――りぼんの大ファンだったんですね。

種村:私に限らず、今りぼんで描いている作家さんたちは、皆さんりぼんのファンです。たとえばパーティーなどで、誰かがいち早く次号を手にしていようものなら、「なんで持ってるのー!?見せて見せて!」みたいな感じになりますよ(笑)。そんな雑誌だからこそラジオのDJのお話があったときも、りぼんのためになることなら私がやりたい!と思ったんです。

――りぼんにとってはこれ以上ないというくらい、頼もしい味方ですね!

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種村:ほんとに、いい雑誌なんですよー! りぼんは男性の読者さんも多いですし、台湾でも出版されていますし、世界中にファンがいるんです。だけど私はもっとこの雑誌のおもしろさをいろんな人に伝えたい、と思うんです。私の作品の読者さんも年齢を重ねると、コミックスを読むのが主流になっていくみたいなんですけど、ぜひ雑誌のほうも読んでいただきたいです!

種村有菜プロフィール

種村有菜(たねむらありな)、愛知県生まれ

りぼんオリジナル(集英社)1996年6月号掲載の2番目の恋のかたち」でデビュー。翌年、りぼん6月号より初連載『イ・オ・ン』スタート。以降、同誌にて数々の連載、読みきり作品など、執筆活動を続けている。代表作に『神風怪盗ジャンヌ』『時空異邦人KYOKO』『満月をさがして』『紳士同盟†』『絶対覚醒天使ミストレス☆フォーチュン』など。『「紳士同盟†」種村有菜イラスト集』ほか、イラスト集も多数。2008年5月より、インターネットラジオサイトのS-ラジにて、ラジオ番組『種村有菜のラジオDEシャキン☆』のパーソナリティを務める。りぼん2009年1月号から『桜姫華伝』連載開始。


「まんがのチカラ」次回予告
少女時代から『りぼん』が大好きで、プロまんが家となった今でも同誌の大ファンだという種村先生。次回は、種村流キャラクター作り術と少女まんがへの熱い想いを語っていただきました。次回最終回は2008年12月22日(月)公開予定。お見逃し無く!

2008年12月15日