まんが☆天国 TOP > まんがのチカラ >  『魔夜峰央先生』 その3

『魔夜峰央先生』 その3

カップうどんにトラウマを抱えつつも、プロデビューへの道を歩み始めた魔夜先生。チャンスを掴むために先生が取った手段は、とにかく完成原稿を編集者に送ること! 今回は、先生のまんが作りのスタンスと『パタリロ!』誕生の経緯をお伺いしました。

<<『魔夜峰央先生』 その2

『魔夜峰央先生』 その4>>

誰も考えつかないことをするのが大好き

――前回は、絶望の中から白泉社に投稿した作品が特別賞をもらい、光明を見いだしたというお話を伺いました。今回は、そこからプロデビューまでのお話を聞かせてください。

魔夜:最初のころは白泉社の「LaLa」で妖怪まんがを描いていたんですけど、あれは別に依頼があったから描いていたわけじゃないんです。特に頼まれてもいないのに、とりあえず16ページ描いて勝手に送りつけていたんですよ。

maya0007

編集者って、手元に原稿があると載せたくなるらしいんです。

――それで完成原稿をいきなり送りつけるということを?

魔夜:そうですね。そのまま載せられるものを送っておくと、当時読み切り作品を掲載していた美内さん(美内すずえ先生)が落としたときに代原に使ってもらえる(笑)。

――そんな狙いがあったんですね(笑)。ちなみに、妖怪まんがを描かれていたことにも何か狙いがあったんですか?

魔夜:もちろん妖怪ものが好きだったというのもあるんですが、何よりほかにあんまり描いている人がいなかったので、目立つだろうって思ったんですよ。

当時、そこまで戦略的に考えていたわけではないと思うんですが、人と違うことをやりたいという気持ちは常にありました。

――アニメ『パタリロ!』のオープニング曲でも「誰も考えつかないことをするのが大好き」ってフレーズがありますが、先生もそうなんですね。

魔夜:変人なんですよ(笑)。とにかく人に逆らう性格なんです。だから〆切も破らない。

maya0002

――え? 逆ではないんですか? 人に逆らうなら〆切を破るのでは?

魔夜:ほかのまんが家さんがみんな守ってないから、私は守るんです。今まで一度たりとも〆切を破ったことはないですね。でも、ほかの皆さんがちゃんと〆切を守るようになったら、守れなくなるかな。幸い、そういうことにはならなさそうですけど(笑)。

――少女まんが誌を投稿先に選んだのも、やっぱりみんなと違うことをやろうと考えたからなんですね?

魔夜:いや、それはちょっと違います。当時(70年代後半)の少年まんがって今と違って、絵柄がすごくガチャガチャしていて汚かったんですよ。それを私の目が受け付けなかったんですね。自分の絵柄なら少女まんがの方が向いているだろうって思ったんです。絵にはそこそこ自信があったので。

――妖怪まんがからギャグまんがに転向したのはなぜなんですか?

魔夜:1977年だったかな、当時の担当だった編集者に40ページの依頼を受けたんですが、その際、これまでとはちょっと違ったものにしてほしいと言われたんです。妖怪まんが以外のものにしようと。

――路線変更は編集者からの依頼だったんですか!?

ラシャーヌ!

そうですね。ただ、そのときはシリアスな現代ものを描こうと考えたんですよ。ところが全然話の展開を思い浮かばない。インド人の美少年が組織に兄を殺されて、その復讐をするっていう設定だけは思いついたんですけど、そこから先に進まなくなってしまった。

そんなとき、現実逃避に近所の本屋さんで週刊まんが誌を立ち読みしていたら、シリアスな絵柄でギャグをやっている作品があって、「これは面白い!」と思って、急遽その方向に方針転換し���んです。〆切も迫っていましたしね(笑)。

――その作品に対する読者の評価はいかがでしたか?

魔夜:読者の反応は全然なかったんですけど、その年の新年パーティで、いろいろなまんが家さんに「あれ、面白かったよ」ってほめられたんですよ。それで同じギャグ路線の「ラシャーヌ!」(翌年1978年より連載開始)を描き始めて、そのままそっちの方向へ進んで行ったって感じですね。

――そして『パタリロ!』(同年スタート)につながっていくんですね!! ちなみに掲載誌が「LaLa」から「花とゆめ」に変わったのはなにか理由があるんですか?

魔夜:その担当さんが「花とゆめ」編集部に異動になったからですね。それで春の号に60ページの前後編作品を描けと言われて、直前に描いていた作品で脇役だったキャラクターを主人公にしてギャグまんがを描いたんです。それが『パタリロ!』なんですよ。

――なんと、パタリロは最初は脇役だったんですか?

魔夜:そうなんですよ。元々の作品はバンコランが主役だったんです。その作品はあんまり人気がでなかったんですが、パタリロは気に入っていたので、こっちを主役にしてみようということになったんですね。

バンコラン バンコラン
(『パタリロ!』第81巻 p.177より)

パタリロ パタリロ
(『パタリロ!』第81巻 p.80より)

それでネームの段階で担当さんに送ったら「面白い」って。当時、久保田さんは「花とゆめ」で『ガラスの仮面』を描いていた美内すずえ先生の担当もしていて、ネームを美内すずえ先生の仕事場で読んだらしいんですが、笑いをこらえるのに必死だったって言ってくれました。

魔夜峰央プロフィール

魔夜峰央(まやみねお) 1953年、新潟県生まれ

1973年、デラックスマーガレット掲載『見知らぬ訪問者』にてデビュー。当初は妖怪まんがをメインに展開していたが、1978年『ラシャーヌ!』でギャグまんが家に方向転換、その後、『パタリロ!』シリーズを連載開始し、現在も別冊花とゆめにて連載中。『パタリロ!』は2度のアニメ化や劇場版公開、舞台化などマルチに展開。熱狂的なファンが多いことでも知られている。なお、『パタリロ!』の単行本巻数は外伝なども含めると少女まんが界最長となる。


「まんがのチカラ」次回予告
元々は、バンコランが主役でパタリロは脇役だったとの事実が発覚した今回に引き続き、次回は『パタリロ!』についてさらに突っ込んだ内容をお伺いしました! 本編と番外編を合わせると100巻到達間近な『パタリロ!』。先生、『パタリロ!』に最終回ってあるんですか!? 次回最終回は、2009年3月23日(月)公開予定。お見逃し無く!

2009年03月16日