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『魔夜峰央先生』 その4

元々は、バンコランが主役でパタリロは脇役だったとの事実が発覚した前回に引き続き、今回は『パタリロ!』についてさらに突っ込んだ内容をお伺いしました! 本編と番外編を合わせると100巻到達間近な『パタリロ!』。先生、『パタリロ!』に最終回ってあるんですか!?

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パタリロ最終回は永遠に来ない!?

――インタビュー最終回は『パタリロ!』の話をいろいろ聞かせてください。まず、前回お伺いした、「実は元々はバンコランが主役だった」ということに関してなんですが、主役の変更は編集部からの指示だったんですか?

バンコラン バンコラン
(『パタリロ!』第81巻 p.177より)

パタリロ パタリロ
(『パタリロ!』第81巻 p.80より)

魔夜:いや、これは私の方から提案しました。実はパタリロは、だいぶ前から自分の中にあったキャラなんですよ。投稿時代のスケッチブックを見ると原型らしきものがある。

ちなみに実は最初は三つ子の予定だったんです。「パタリロ」「ヨタリロ」「マッタリロ」の、全く同じ顔をした三人兄弟として考えていました。

ただ、同じ顔を3人も描くのが面倒くさくなってね(笑)、それで「パタリロ」だけになったんですよ。

で、バンコランが主役だとどうしても話がシリアスになってしまうので、彼を脇役にして、パタリロを主役にするという形にしたんですよ。そうしないと話がふくらんでいかないんです。

――というと?

魔夜:バンコランを主役にすると、キャラクター同士の会話を全部私が考えないといけなくなって、すごく不自然な展開になるんでしょ。「こう言った」「ああ言った」「こう言い返した」みたいな。

ところがパタリロを主役にすると、自分勝手に喋っていってくれるので、すごく自然だし、楽なんですよね。こっちは脇役側のセリフだけを考えればいい。

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――よく言われる「キャラクターが勝手に動く」という状態ですか?

魔夜:そうですね。ほかのキャラクターは背中を押してあげないと動かないんですけど、パタリロはちょっと触るだけでスカーンと走っていくんです。「どこまで行っちゃうんだ」ってくらいに。むしろ僕の方でブレーキをかけますね。かけないと延々どうでもいい会話が続くだけになってしまう(笑)。

――そういうコントロールが先生の役割である、と。

魔夜:頼むからこっちに行ってくれみたいな、ね。思い通りに動いてくれないことも多いですけどね(笑)。

――今までの中で一番上手くコントロールできた回って覚えていらっしゃいますか?

魔夜:「FLY ME TO THE MOON」(単行本10巻に収録)ですね。あれは「読者を泣かせてやるぞ!」ってつもりで描きました(笑)。

当時「週刊マーガレット」に連載されていたギャグまんが『つる姫じゃ~っ!』(土田よしこ先生)の中に、1話だけすごく悲しいお話があって、それがすごく印象に残っていたんですね。それで「パタリロにもこういうエピソードがあっても良いのかな」って思ってやってみたんですけど、思った以上に上手くいきました。

――確かに、あれは序盤屈指のエピソードだったと思います。逆に、コントロール失敗した結果良くなった回というのはありますか?

魔夜:それはたくさんありますね「霧のロンドン・エアポート」(単行本12巻に収録)とか。当初は1話で終わらせるはずだったんですが、何も考えないで描き進めちゃったものだから、全然終わらなくて、「じゃあ前後編にしよう」「じゃあ全3���で」って感じで気がついたら単行本一冊丸ごとその話になってしまいましたね。

――しかし、それゆえのスケール感によって、アニメの最終回エピソードに採用されるなどの盛り上がりを見せましたよね。

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魔夜:まぁ、なんとか無理矢理まとめましたね。

――さて、そんな『パタリロ!』ですが、なにやらそろそろ大きなメモリアルナンバーに到達するそうで......。

魔夜:本編、番外編合わせて、単行本がそろそろ100冊になるんですよ。現時点で、97冊なので、年内に100冊に到達するはずです。ちなみに内訳は、本編が81巻、番外編の『パタリロ西遊記』が8冊、『パタリロ源氏物語』が5冊、『家政夫パタリロ!』、『奥様はパタリロ』『ビストロ温泉パタリロ!』がそれぞれ1冊とですね。

――シリーズ通算100冊に向けて、何かイベントなど考えられていますか?

魔夜:まだもう少し先の話なのでなんとも言えないんですが、何かやりたいですね。また、それとは別に、本編だけで100巻は目指したい。単行本を年に2冊のペースで出していますから、順調に行けば10年後くらいですね。

――つまり、それまで『パタリロ!』は続くと言うことですね。

魔夜:できれば死ぬまで描きたいですね。ある日、真っ白な原稿用紙に血を吐いて死んでいたというのが理想の死に様です(笑)。

――ということは未完で終わってしまうということですよね? 『パタリロ!』に最終回はないということですか?

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魔夜:そうですね。実は、掲載誌を本誌から別冊に異動するときに一度、パタリロを殺しちゃおうと思ったことがありました。『鉄腕アトム』(手塚治虫先生)も『サイボーグ009』(石ノ森章太郎先生)も、最後は主人公が太陽に突っ込んで死んでますから、それをマネしようと。

でも、あと3ページくらいで書き終わるってところで、もったいなくなっちゃって止めちゃった。それが唯一、最終回になりかけたエピソードですね。でももうそういうことはしないと思います。

――『パタリロ!』は未完で終わり。最終回はない。これは書いてしまってよろしいですか?

魔夜:はい。僕の訃報が流れたときが『パタリロ!』の最終回だと思ってください(笑)。

魔夜峰央プロフィール

魔夜峰央(まやみねお) 1953年、新潟県生まれ

1973年、デラックスマーガレット掲載『見知らぬ訪問者』にてデビュー。当初は妖怪まんがをメインに展開していたが、1978年『ラシャーヌ!』でギャグまんが家に方向転換、その後、『パタリロ!』シリーズを連載開始し、現在も別冊花とゆめにて連載中。『パタリロ!』は2度のアニメ化や劇場版公開、舞台化などマルチに展開。熱狂的なファンが多いことでも知られている。なお、『パタリロ!』の単行本巻数は外伝なども含めると少女まんが界最長となる。


2009年03月23日