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『庄司陽子先生』 その3

ちょっと生意気で、少女まんがの世界にあこがれる女の子だったという庄司先生。 母親譲りという絵の才能と目標を諦めない信念と情熱で、ついにデビューを実現します。 しかし、その後は必ずしも順調ではなかったとのこと。そこで、ここでは、そんな苦難の下積み時代について振り返っていただきました。

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まんがが「夢」から「目標」へ

---- 先生の子供時代について教えてください。先生はどんなお子さんだったんですか?

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庄司:一言で言うと「生意気な子」だったそうです。これは親から聞いた話なんですが、小さいころ「お前はどうして親の言うことが聞けないんだ」って怒られた時、「親の言うことばっかり聞いてたら、親以上に偉くなれない!」って言い返したらしいんですよ。もう、全然覚えがなくて......本当に恥ずかしい(笑)。

---- 絵を描くようになったのはいつごろからでしょう?

庄司:何歳のころかは覚えていないんですが、物心ついた時には、亡くなった母と一緒に絵を描いて遊んでいましたね。

でも、なぜか母が描いてくれる絵が芸者さんで(笑)。というのも、母の兄が芸者置屋に入り浸って身上つぶしたほどの遊び人だったらしいんですが、その兄のところに、お正月になると芸者衆が挨拶に来るんですよ。母はそれがすごく印象に残っていたそうなんです。

それを絵に描いて、「お正月になると稲穂と鳩のついたかんざしを挿して、自分の旦那さんに鳩の目を入れてもらうのよ」とか、小学生がそんなこと覚えてどうするんだってことをたくさん教えてもらって(笑)。でも、絵が好きなのは母親譲りだったと思いますね。

その後、小学校高学年のころにはまんがを描くようになっていました。当時は紙が貴重だったので、教科書の隅とか、下敷きとか、余白のところに描きまくってましたね。下敷きを洗ってこいって先生に怒られるくらいだったんですよ。

そうこうしているうちに、絵の描けないクラスメイトから「陽子ちゃん描いて!」って頼まれるようになって、白い紙と交換で描いてあげてました。

---- もう、ビジネスですね! ちなみに当時の先生は、どういったまんががお好きだったんですか?

庄司:当時ですと、やっぱりわたなべまさこ先生(『ガラスの城』)とか、牧美也子先生(『源氏物語』)の作品でしょうか。

ものすごく憧れましたね。例えば、牧美也子先生の作品で、お姉さんが妹の誕生日に1つずつ真珠をあげて、それを結婚式のときに全部連ねてネックレスにするっていうのがあるんですよ。それを読んで、こんなお姉さんが欲しいなあ、ウチの姉は何もしてくれないなあって(笑)。

あと、わたなべまさこ先生の、「バフッ」って擬音が入るクッション。あれも夢でしたね。かわいいフリルが付いてて、とっても柔らかそうで......。

---- まんがを読んで、その生活に憧れるような女の子だったんですね。

庄司:そうですね。まだ戦後って感じの時代でまんがは「夢」でしたね。手の届かない夢。そういうものを妄想の世界で味わえるものだと思っていました。

---- そんな先生が、はっきりとプロのまんが家を志したのはいつごろですか?

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庄司:それはもう、里中満智子先生(『天上の虹』)や大和和紀先生(『はいからさんが通る』)のデビューですね。自分と2歳しか違わない人がプロになったことにショックを受けて、自分もなりたいって思いました。それまでは歌手とか役者とかいろいろあったんですけど、その時にスパッと決めて、もうこれしかないって。

---- 周りの反応はいかがでしたか?

庄司:姉にひっぱたかれました(笑)。

というのも、中学生の時、人前で「私、まんが家になる」って言っちゃったんですよね。それで、姉に「なれるかどうか分からないものを人前で言うんじゃない!」って怒られて。

でも、私も泣きながら「なるもん、なるもん!」って反論して、そこは絶対に譲りませんでしたね。そのころから頑固だったんですよ(笑)。

庄司陽子プロフィール

庄司陽子(しょうじようこ) 1950年、千葉県生まれ。

1968年デビュー。講談社、週刊少女フレンドを中心に多数の作品を執筆し、デビュー10年目となる1977年に『生徒諸君!』を連載開始。第2回講談社漫画賞少女部門を受賞したほか、2度のテレビドラマ化や映画化、アニメ化など、絶大な支持を集めた。近年はレディース誌に活動の場を移し、2003年から『生徒諸君!』の続編となる『生徒諸君! 教師編』を連載開始(現在も連載中)。2006年には、性同一性障害を扱った『G.I.D』で青年誌進出も果たしている。今年でデビュー40周年。そのほかの代表作に『セイントアダムス』『Let's 豪徳寺』『サンクチュアリ』『I′S』『ルシフェル』などがある。


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2007年05月25日