まんが☆天国 TOP > まんがのチカラ > 『鬼頭莫宏先生』 その4
今回の「まんがのチカラ」は、鬼頭先生にまんてんからの質問にお答えいただく「まんてん@知っとコラム」をお届けします。先生の意外な一面を探る10の質問にお答えいただきました。


大野安之さんの『ゆめのかよいじ』ですね。哲学からエロまで、全てが盛り込まれています。1冊で全てを語っているまんががあるとすれば、あの作品だと思います。
もっとも、読者の判断にゆだねられている点があまりに多いので、手放しで高評価するのは危険なんですけど(笑)。
ちなみに2001年に加筆・修正された復刊版が出ているんですが、それがいまいちだったんですよ。大野先生には申し訳ないんですけど、オリジナル版でどこかがもう一度だしてくれないかな、と思っています。

答えに悩みましたが、ビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』という作品が一番好きなんだと思います。これを越える作品は20年間出ていないですね。マイナーな作品なんですけど、ヨーロッパ映画とかにうるさい人に聞けばすぐに分かると思いますよ。
これもまた、哲学からエロまでの......いや、エロはないんですけど、とにかく計算し尽くされた完成度の高さがすさまじいです。
あと、主演の7(?)歳の女の子がめちゃくちゃかわいいんですよ。でも、だまされちゃダメです(笑)。それだけ、の映画じゃないですから。

「最後の一食にしたいのは何か」と言われたら、「魚の干物とごはん」なのかなとか思いますけど......。「好きなものは何か」と言われると困りますね。寿司からイタ飯まで何でもおいしくいただきます。
でも、子供の頃は肉類が全くダメでしたね。ハムとかソーセージもダメでした。 大人になってから食べられるようになりましたけど、今でも内臓系は苦手ですね。魚の方が好きです。

数学だと思います。今はその片鱗も残ってないですけど(笑)。

具体的に、ってのはあんまりないんですが、イメージで良いなら、「山の見える地方都市」が好きですね。

最終日に追い込みで必ずかけるのは「XTC」の「Nonsuch(ノンサッチ)」というアルバムなんですけど。それは何か自分の中で戦闘スイッチが入るんですよ。

その原稿の合間にやる気分転換というのだと自転車のローラー台とかですかね。 ハムスターの回し車っていうか、自転車版ルームランナーみたいなものです。 運動不足とストレス解消に良いんですよ。

「2ちゃんねる」って言ったら怒られますよね(笑)。 好きなのかは微妙なんだけど、ほかに見るところもないですからね。

亡くなった方でも良いなら坂口尚さんには一度お会いしてみたかったですね。 あと、ヘンリー・ダーガーさん、人形作家の天野可淡さんにもお会いしたいですね。なんだか、会いたい人はみんな亡くなってますね。

昭和30年代かな。コンピュータがない、あっても自分の人生に影響を与えない程度の世界に行きたいです。
コンピュータは便利だと思うんですけど、何もかもが「平均化」されちゃうのが良くないですね。生物も突き詰めていけばしょせんはデジタルだと思うんですが、コンピュータは揺らぎの幅がなさすぎて......。
例を挙げると、絵を描くにしても、人の絵をもってきてスポイトで取ればその人の使っているパレットが分かっちゃうとか、そういうのがイヤです。
ちなみに、仕事にパソコンを取り入れようと思ったことがあったんですが、一度チャレンジして面倒くさいんでやめました(笑)。
鬼頭莫宏プロフィール
鬼頭莫宏(きとうもひろ) 1966年、愛知県生まれ。
1987年、少年サンデーにて読み切り『残暑』でデビュー。1994年に『三丁目交差点 電信柱の上の彼女』が少年チャンピオン新人漫画賞入選。1995年、アフタヌーンで『ヴァンデミエールの右手』が四季賞準入選。同作品はその後、『ヴァンデミエールの翼』としてシリーズ連載化し、2年にわたり不定期掲載される。1998年には同誌において初連載『なるたる』をスタート。2004年からは『ぼくらの』で活動の場をIKKIに移す。『なるたる』『ぼくらの』は共にテレビアニメ化もされた。繊細で残酷な、ある意味で相反する要素を合わせ持つ作風が、コアなまんがファンを中心に高く評価されている。
「まんがのチカラ」次回予告
次回は、テレビドラマも好評放送中の大人気まんが『有閑倶楽部』の一条ゆかり先生が登場です!
ドラマの感想から、まんが版『有閑倶楽部』の今後の展開まで語っていただきました。
更新予定は、11月19日(月)。お楽しみに!
2007年10月29日
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