まんが☆天国 TOP > まんてんセレクション >  第29回 『老眼鏡の紳士のいろけ』

まんてんセレクション

第29回 『老眼鏡の紳士のいろけ』

木村カナ(文筆業)

 こんにちは、木村カナです。

 前回(第28回)で取り上げたおっさんたち、『最強伝説 黒沢』の黒沢も、『俺はまだ本気出してないだけ』のシズオも、その物悲しい振り切れぶりが、他の登場人物、特に年下の男性の心を揺り動かすようです。黒沢は不良中学生の仲根に慕われるようになりますし、シズオは20代フリーターの秀一から生温く見守られています。ですが、黒沢もシズオも独り身で、女性からモテたい!という気持ちがかなり強いのに、残念ながら、まったくモテません......。

 突き出たビール腹を持て余し気味の清潔感のない40代のおっさんたちですから、若い女の子には受けるのは確かに難しいかも? しかし、そんなおっさんにもまだ希望はあります。世の中には、「カレセン(枯れ専)」、つまり、枯れた50代・60代の初老の男性が好き!という女の子たちがいるのです! では、どんな初老になればカレセン女子からモテるのか......? 今回は初老の男性の魅力を描いたまんがをご紹介したいと思います。

『リストランテ・パラディーゾ』(オノ・ナツメ/太田出版)

リストランテ・パラディーゾ
●オノ・ナツメ 著
●太田出版 全1巻
●定価 683円(税込)
テレビアニメ放映中!

 過去のまんてんセレクションでも、高橋美里さんによって、『GENTE』、『さらい屋五葉』がすでに取り上げられているオノ・ナツメ。発表順としては『GENTE』の前作ですが、ストーリー的には『GENTE』の後日譚にあたる、『リストランテ・パラディーゾ』のテレビアニメが、フジテレビNOISEにて毎週水曜深夜に放映中です!

 『リストランテ・パラディーゾ』の舞台はイタリアのローマ。ヒロインであるニコレッタは、リストランテ「カゼッタ・デッロルソ」を訪れます。オーナーは、ニコレッタを祖母に預けっぱなしにした母の再婚相手。さらにそのリステランテは、従業員全員が老眼鏡の紳士、という、ちょっと変わった店なのです。客の大半が女性で、この趣向はニコレッタの母の趣味。彼女たちのお目当ては、美味しい料理だけではなくて、老眼鏡の紳士たちが働く姿を目で追い、彼らから極上のサービスを受けることなのでした!
 ニコレッタがローマに来た目的は、母が秘密にしている自分の存在を、再婚相手であるオーナーに暴露することでした。しかし、リストランテのカメリエーレ(※ウェイター)長のクラウディオの存在が、どうしようもなく気になりはじめてしまいます。物静かで優しいだけではなく、独特の色気を漂わせているのがクラウディオの魅力。倍ほども年上の彼に惹かれている自分の気持ちが、はたして恋なのかどうか、よくわからないながらも、別れた奥さんを今でも愛しているらしいクラウディオの言動に、すっかり心を乱されてしまうニコレッタ。彼女が抱えたさまざまな思いの行方は......?
 クラウディオを筆頭に、それぞれに魅力的な老眼鏡の紳士たちが登場する『リストランテ・パラディーゾ』。「カレセン」女子のみならず、メガネ男子好きの読者にとっても、うっとりが止まらない作品です!

『娚(おとこ)の一生』(西炯子/小学館)

娚(おとこ)の一生
●西炯子・著
●小学館
●フラワーコミックスα既刊1巻
●定価 420円(税込)
月刊フラワーズ連載中

 老眼鏡の紳士たちの魅力を存分に描いている『リストランテ・パラディーゾ』ですが、そこにはちょっぴり足りない要素があります。それはずばり「インテリ」! メガネをかけているときの顔、メガネを外したときの顔、その表情がどちらも素敵!というビジュアル重視、そもそもメガネ自体がアイテムとして重要!属性として最強!というメガネ原理主義のご意見もあるかと思いますが、インテリに弱いわたしの個人的な意見としては、メガネとは知性の象徴であってほしいのです......。
 そんなわたしが思わずドキドキさせられてしまったまんがが、『娚(おとこ)の一生』。長期休暇を祖母の家で過ごしていたヒロインの堂薗(どうぞの)つぐみの前に、突然現れた謎のおっさん。彼はその家の離れの鍵を持っていて、自分もそこでしばらく暮らすつもりであると宣言します。彼の名前は海江田醇(かいえだ・じゅん)、祖母の元教え子で、哲学を教えている大学教授であり、執筆や講演などの活動も精力的にこなしているらしい。そして、彼は亡くなったばかりの祖母の恋人だったのでは......?と疑うつぐみと海江田の奇妙な共同生活がはじまります。有能なキャリアウーマンでありながらも、恋愛では失敗し続けてきたつぐみに向かって、「練習やと思て/ぼく相手に/恋愛にしてみなさい」などと突然に言い出す海江田。実は、彼は、祖母の葬儀で出会ったつぐみに一目惚れをしてしまっていたらしいのです......!
 クラウディオと同様に、老眼鏡の紳士である海江田。ちなみに関西弁で喫煙者です。知性を感じさせつつも、ぶっきらぼうで、ちょっとやんちゃでイタズラっぽい一面もある彼は51歳。30代半ばのつぐみからすれば、10歳以上も年上。そんな彼との恋愛だの結婚だのは、「...私/...ムリです」。
 え~......わたしがつぐみの立場だったら、全然ムリじゃないんですけれど! というか、海江田にプロポーズされたら、ハイ、喜んで!と即答してしまいそうな自分が、我ながら怖いです......。わたしは「カレセン」でもメガネ好きでもないはずなのですが、海江田というキャラクターの雰囲気が、モロに好み、なんですよ......。

 それでは、また次回!

2009年04月28日