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まんてんセレクション

第15回 『おかしな部長とゆかいな部員たち』

木村カナさん(文筆業)

 こんにちは、木村カナです。

 第1回では運動部、前回の第14回では文化部と、高校の部活動を取り上げたまんがをご紹介してきました。

 その両方が、大きな分類としては「学園もの」の一部ということになるのでしょうが、そうした学校を舞台にしたまんがは今までに一体、いくつぐらい描かれてきたのでしょうか......それこそ数え切れないほどにたくさんありそうで、想像しただけでなんだか気が遠くなってきます。

 シリアスでもコミカルでも、恋愛でも戦いでも、ほとんど何でもアリ!なのが「学園もの」というジャンル。設定も、作者の実体験をもとにしたリアルなものから、とんでもなく荒唐無稽なフィクションまで、どんなふうにでもアレンジが可能です。

 部活動についても、運動部と文化部のどちらにも当てはまらないような、それどころか現実には絶対にありえない! どこをどうひねったらこんな発想が出てくるんだろう......?とびっくりしてしまうような設定の部が舞台になっているまんががあります。今回はそんな架空の部を舞台にしたまんがをご紹介したいと思います。

桜蘭高校ホスト部(クラブ)(葉鳥ビスコ/白泉社)

桜蘭高校ホスト部
『月刊LaLa』にて連載中
●葉鳥ビスコ・著
●白泉社 既刊12巻
●定価 410円(税込)

 もしかすると少女まんがに特有なのかも!? とわたしがひそかに考えている設定で、お金持ちの名家の子女だけが集まる名門高校、というのがあります。そうした設定の少女まんがを読みふけっていたせいで、「財閥」だの「帝王学」だの「許婚」だのといった単語を、わたしは小学校低学年にしていち早く覚えてしまいました! 
 高校生でありながらも、庶民の常識や金銭感覚からかけ離れたゴージャスでハイソな世界に生きる登場人物たち。今の言葉ならば、要するにセレブ? ただし、成金でもなければ親の七光りに依存しているだけでもなくて、本人の外見も中身もとにかくすべてが魅力的! そんな天下無敵のキャラクターたちが大活躍する、あるいはそんな男の子と出会い、いつのまにか恋に落ちてしまう......。そうした物語は、もしかして女の子の多くが夢見る、憧れのシチュエーションなのかも!? そういえば、『有閑倶楽部』(一条ゆかり/集英社)も『花より男子(だんご)』(神尾葉子/集英社)も、そうした名門高校のトップグループを中心に展開していく少女まんがであり、根強い人気を獲得している名作です。『桜蘭高校ホスト部(クラブ)』の舞台もやはり名門高校、そして美麗なセレブ男子集団が登場する大人気ラブコメです。
 桜蘭高校の生徒としては珍しい、特待生・藤岡ハルヒは、入学早々「ホスト部」の高価な花瓶をうっかり壊してしまい、その弁償のためにホスト部で働かされることに......。それにしても、ホスト部って何!?
 ホスト部とは超名門校の桜蘭高校内でもひと際目立つ、輝かしい存在のイケメン男子6人組が、放課後に女子をおもてなしして楽しむ、という謎の部です。ホスト部で「庶民」かつ「天然」であるがゆえに、誰からも親しまれる存在となったハルヒですが、実は女の子だったことが判明。このヒロインのハルヒが、かわいくて真面目でしっかりした、とんでもなくいい子なんですよ! そんなハルヒに、部長でホスト部「王(キング)」を自称する須王環(すおうたまき)以下、ホスト部員全員がいつのまにか夢中に......!? そのドタバタを、スピード感のある展開で描いたラブコメディが『桜蘭高校ホスト部』。アニメ化、ゲーム化もされたほどのヒット作だけあって面白い!
 おそらく、ハルヒが環と結ばれてハッピーエンド、という結末が順当なのでしょうけれども、実は、ハルヒといちばん相性がいいのは、寡黙だけど優しいモリ先輩のような気が、わたしはするんですよね。ハルヒは環と付き合うよりも、モリ先輩と付き合った方が落ち着くし、幸せになれるんじゃないかと......でも、個人的にいちばん好みのキャラは、副部長でクールメガネの鏡夜(きょうや)先輩だったりするので、わたしがハルヒだったら、迷わず鏡夜先輩を選びます!

セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん
(うすた京介/集英社)

セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん
『週刊少年ジャンプ』にて掲載(連載終了)
●うすた京介・著
●集英社 全7巻
●定価 410円(税込)

 『週刊少年ジャンプ』の連載の中でも、異彩を放つニューウェーブなギャグまんがであり、なんと、要潤主演で実写映画化されてしまった『ピューと吹く!ジャガー』。その作者であるうすた京介のジャンプ連載デビュー作が、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』です。たまたま連載第1回を読んで、わけのわからない衝撃を受けました。何だったんでしょうねえ、あの感覚は......。
 県立わかめ高校に転校してきた主人公・藤山起目粒(おこめつぶ)が、転校初日に座った席、その席の本来の持ち主は、おかしな歌を歌いながら2年7組の教室に近付いてきて、いきなり窓から入ってきた!クラスの空気を「ガビーン」と凍りつかせたその男の名は、花中島(はななかじま)マサル!
 マサルから飛び出す言動は、いつも予測不能でどれも理解不能。それゆえに彼は校内一有名な「変態」として奇異の目で見られています。誰にでもおかしなニックネームを勝手につけるマサルが、藤山に与えた呼び名が「フーミン」。マサルにやたらと気に入られてしまったフーミンは、いつのまにか常に彼と行動を共にすることに......。そのおかげで転校当初の「友達100人!!」という誓いは水の泡。
 実は天才的な格闘センスの持ち主でもあるマサル。彼が「山で3か月間修業して身につけた」と自ら語る格闘技が、「セクシーコマンドー」です。わかめ高校にセクシーコマンドー部を作って、自ら部長になるマサル。部長のマサルさんを筆頭とするセクシーコマンドー部、どう考えても全員、ものすごく変です。
 最初はまともだったフーミンも、セクシーメイト(セクシーコマンドーをやる人)として、部にすっかりなじんで、ツッコミ担当としての地位を確立。後からマネージャーとして仲間入りした唯一の女子・モエモエも、一見、普通の女の子なのに、セクシーコマンドー部を「ヒゲ部」だと思い込んで入部という、マサルさん同様の変なこだわりの持ち主だし。
 わかめ高校校長も生徒のふりをして、在籍しているセクシーコマンドー部。すでにヨボヨボのおじいちゃんである校長先生が、実はマサルさん以上のセクシーコマンドーの使い手だった!という設定......。連載当初、わたしはセクシーコマンドーというのは、マサルさんだけの妄想から生まれた格闘技なんだろうな、と思いながら読んでいたので、校長の登場によって、セクシーコマンドーがマサルさん独自のものではない、とわかった瞬間、わけのわからないショックを受けました。本当に何なんでしょうねえ、セクシーコマンドーって一体......。
 『マサルさん』連載開始と同時に、すっかりうすたギャグ、そして、その脱力感のとりこになったわたし。うすたギャグの持ち味は何と言っても言葉の選び方・使い方の面白さだと思います。ほとんど意味不明なのに、なぜかニヤニヤ笑いがこみあげてきてしまうのは、笑いのセンスに共通するポイントがあるからなのかもしれません。同じ年(1974年生まれ)であることもあって、選ばれている固有名詞の元ネタ(例:「よろしくメカドック」「おニャン子クラブ」「お笑いマンガ道場」......)がすぐに思い浮かぶので、そのせいでますます面白く感じるのかも?

セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん ウ元ハ王版

 『マサルさん』の単行本はすでに全巻買い揃えているのですが、今発売されている「ウ元ハ王版」も読みたくて、欲しくて欲しくてたまらなくて......どうしようかと大いに悩んでいますっ!!! アアアアー、やっぱり買っちまうしかないのかよ、コンチクショウ!

 それでは、また次回!

2008年05月26日