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まんてんセレクション

第17回 『ほとんど人間、でも猫。』

木村カナさん(文筆業)

 こんにちは、木村カナです。

 あなたは猫派ですか? それとも犬派ですか?

 以前、ジャイアントパンダが登場するまんがをご紹介しましたが(第13回)、希少動物であるパンダと違って、犬と猫はわたしたちにとって日常的に接する、圧倒的に身近な存在です。わたし自身は犬も猫も両方とも大好きなのですが、
 「そうだ、次回は、猫まんがについて取り上げよう!」
 とふと考えつくぐらいなので、どちらかというと「猫派」ということになるのかも? そういえば、偏愛しているパンダも、中国語では「(大)熊猫」ですしね!
 そんなパンダ好きで猫好きのわたしが、いつか会いに行きたいと思っているのが、和歌山県の貴志川線貴志駅にいる駅長「たま」。駅長帽をかぶって業務の客招きにいそしんでいる三毛猫のたま駅長は、テレビや新聞の取材を受けたり、オリジナルグッズや写真集が発売されたり、と、就任以来、全国区の大人気! インターネットを通じて、日本国内のみならず世界的にも、そのキュートな存在が注目されるようになり、フランスのドキュメンタリー映画に出演するなど、忙しい日々を送っているのだそうです。
 今回は、数多く描かれ、バリエーションも豊富な猫まんがの中から、たま駅長のような「働く猫」を主人公にしている、ほのぼの脱力系の2作品をピックアップしてご紹介します。

『猫ラーメン』(そにしけんじ/マッグガーデン)

猫ラーメン
『コミックブレイド』にて連載中
映画化決定!
●そにしけんじ・著
●マッグガーデン 既刊3巻
●定価 580円~590円(税込)

 平凡なサラリーマンの田中さんがふらりと入ったラーメン屋。カウンターの中にいたのは、なんと、猫でした!!
 「オレはこう見えても/ラーメンにかける/情熱はハンパじゃねーぞ!!
 まずは/食ってから/判断してくれ!!」
 そんな大将の心意気に感激した(?)田中さんは、その最初の出会い以来、昼休みごとに「猫ラーメン」に通う常連客になったのでした。
 いつもエプロンにハチマキ姿の「猫ラーメン」店主、通称「大将」は、正真正銘の猫です。しかしその言葉どおり、ラーメンにかける情熱はまさに人並み以上なのでした! ラーメンの新しい可能性を独自に追求し、思いついたアイデアを自分の店「猫ラーメン」で即座に実行に移す努力を、日々、怠りません。大将が考えた新ラーメンや新サービスを、真っ先に体験するのは、たいてい一番の常連である田中さんです。
 ところで「猫ラーメン」、肝心のラーメンの味はどうなのでしょうか?
 ......ラーメンを食べている田中さんの顔にいつも縦線が入っていて、時には涙を流しながらラーメンをすすっている様子を見ると、実はあんまりおいしくないのかも!? しかし、「まずい」「変な味」「えー!?」と毎回、ツッコミを入れながらも、「猫ラーメン」に足繁く通い続ける田中さんなのでした。そうそう、ラーメンの味の好みは人それぞれ、まずいと思うラーメンでも一度クセになってしまうと何度でも食べたくなるものなんですよね!
 テレビの取材を受けたり、有名なグルメ評論家に紹介されたり、のれん分けの2号店、さらにはコンセプトをパクったラーメン屋までもが登場し、話題の人気店として「猫ラーメン」は絶好調営業中! 大将が思いつくとんでもないアイデアにもどんどん磨きがかかっていきます。そして、次第に明かされていく大将の秘密......白猫にしか見えない大将が、実は血統書付きのアメリカン・ショートヘアーだった、という驚愕の事実もあきらかに!
 シンプルな線と4コマ形式でテンポよく描かれた『猫ラーメン』。猫の大将は二足歩行で言葉を話し、ラーメン屋の店主としてきっちり働いているのですが、時おり、いかにも猫らしい面をのぞかせることも。大将と田中さんをはじめとする他のキャラとのやりとりが何とも言えず面白いのです。
 まんがだけではなく、WEB配信でいつでも楽しめるフラッシュアニメ版も大人気、さらには実写映画化も発表されている『猫ラーメン』。猫好きだけではなく、ラーメン好きにもオススメ!?

『きょうの猫村さん』(ほしよりこ/マガジンハウス)

きょうの猫村さん
■ウェブサイト『猫村.jp』にて連載中
●ほしよりこ・著
●マガジンハウス 既刊3巻
●定価 1200円(税込)

 ネット上での連載としてスタートした『きょうの猫村さん』。
 鉛筆のみで描かれているという絵には、柔らかくてかわいらしい独特の味わいがあり、全体的にどことなくノスタルジックな雰囲気が漂っています。
 『きょうの猫村さん』の主人公は猫村ねこ。求人広告を見て「どうしても働きたいんです」と村田家政婦紹介所にやってきた猫村さん。「猫に何ができるっての」と冷たく言い放った奥さんの前で、エプロンをきりりと装着(←たてむすび)、台所仕事から掃除までを、てきぱきとこなして見せます。
 親とはぐれて街をさまよっていた子猫だった猫村さんを、雨の日に見つけて、かわいがってくれたぼっちゃん。大好きなぼっちゃんの役に立ちたいという一心で、家事を見よう見まねで習得した猫村さんでしたが、ぼっちゃんはお家の事情で外国へ行ってしまいました。お金をためて、外国語も覚えて、いつかぼっちゃんに会いに行きたい、心からそう願うけなげな猫村さんは、家政婦という仕事を選択し、犬神家でご奉公することになります。
 お仕事をすることになった犬神家には、いろいろと複雑な家庭の事情がありました。そこにまさしく「家政婦は見た!」という状態でずけずけと踏み込んでいく猫村さん。しかし、そんな猫村さんの言動が、犬神家の家族同士にはりつめていた心のわだかまりを、少しずつ、解きほぐしていくのでした。
 それにしても、猫村さんの言動って、やたらとお節介で世話好きな、好奇心丸出しのウザイおばさんみたいなんですよね、猫なのに......でも、猫村さんの心は、いつも裏表のない真面目な善意でいっぱい、その上、見た目が猫だから、とにかくかわいい!いじらしい!素敵!
 1巻の猫村さんが、火打ち石をカチカチやって家政婦仲間を送り出すコマ、2巻で猫村さんが犬とゴロンゴロンと遊んでいるコマの絵が、わたしはとても好きで、そのコマを見ているだけでなんとも心が和みます。
 猫村さんの活躍によって、いずれ犬神家のみんなが打ち解けて幸せになれるんじゃないか、という予感がなんとなくあって、読んでいると、しみじみと優しい気持ちになってくるのでした。

 それでは、また次回!

2008年06月25日